Vol.9 編集後記 編集長・大部令絵

おかげさまで、Co-Co Life☆女子部 vol.9が発行の運びとなりました。協賛くださった企業、団体、個人の皆様、広告をご出稿くださった企業、団体の皆様に、篤く御礼申し上げます。

また、例年以上に厳しい暑さとなったこの夏、取材撮影にご協力くださったサポーターの皆様、制作に尽力してくれたスタッフにも、感謝いたします。

さて、今回の編集後記は、これまで複数の方にお寄せいただいている、あるご意見にお答えするところから始めようと思います。

「Co-Co Life☆女子部の中でも、障がいのあるモデルさんと障がいのないモデルさんがもっと混ざりあって登場するといいのでは」というお声を、複数の方からいただいております。 このことについてお答えしますと・・・誌面の中に、障がいの有無に関係なくモデルさんに出ていただくことでも、きっとステキなページができあがると思います。でも、私はこの点、少し違った考えをもっているんです。

小誌のコンセプトは、『共感』と『きっかけ』を、読者である障がいのある女性に届けること。24ページの中の1ページでもいいので、読者の方々に、「私もこれ、やってみたい!」と思っていただき、本の中で紹介した新たな世界に飛び込むアクションを起こしていただくことなんです。だから誌面では、読者の皆様に共感してもらえるような、障がいのある女性が何かに一歩踏み出す姿を、いつも大切にしています。

私としては、障がいの有無に関係なく何かを楽しめる世界は、誌面の中でというより、現実で実現して欲しいと思っています。読者の皆様が、『きっかけ』を得て新たな世界に飛び込むことによって、その現場に、障がいのある人もない人も一緒になって楽しむ雰囲気が当たり前のようにできあがることこそが、Co-Co Lifeの目指す、「バリアフリーという言葉のいらない社会」だと理解しているからです。

もちろん、現実の世界での実現のためには、障がいのない方にも、障がいのある方々と一緒になって「どうすれば一緒に楽しめるのか」ということを考えて、共に実践していく必要があるでしょう。この対話には、どちらの立場も欠かせません。

以前の編集後記で、東京オリンピック・パラリンピックが決定したことで、街が変わるだろうと書きましたが、もう一つ、街を、暮らしを変化させるであろうキーワードが、法律の中にあります。それは、『合理的配慮』。

合理的配慮という言葉が盛り込まれた法律は、改正された障害者基本法、平成28年から施行される障害者差別解消法などいくつかありますが、例えば日本障害フォーラムが発行している障害者差別解消法を説明するパンフレットでは、合理的配慮を「障害のある人とない人の平等な機会を確保するために、障害の状態や年齢、性別などを考慮した変更や調整、サービスを提供すること」と説明しています。

大切なのは『調整』です。障がいのある人は自らの障がいの状態やそれに伴うニーズを、事業者はそれに対して何をどこまで対応できるかを、お互いに話し合い、折り合いをつけていくという『対話』と『調整』があって、初めて合理的配慮は成り立つのです。と、いうことは、障がいのある人も、自らの権利のために、まずは声をあげること、アクションを起こすことがとても大事ということになります。

小誌をお手にとってくださったあなたの一歩は、あなたにとっては何気ないものかもしれませんが、誰もが暮らしやすい社会ができていくためには、大切な一歩かもしれません。前を向いて、口角上げて、新たな一歩を踏み出してみませんか?

2014年8月 Co-Co Life☆女子部 編集人 大部 令絵

【文献】 日本障害フォーラム(2013)障害者差別解消法ってなに? http://www.normanet.ne.jp/~jdf/pdf/sabetsukaisyohou2.pdf

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